キョンとは？
キョンは、千葉県や東京都などで問題となっている外来種の害獣です。
一見すると可愛らしい見た目をしていますが、その特徴的すぎる鳴き声や行動が多くの人々を悩ませています。
キョンはシカ科ホエジカ属に属している小型のシカです。体長は70～100cm程度、体重は10～18kg程度とニホンジカよりも一回り小さく、短い角と牙があります。体色は黄褐色や赤褐色の個体が多く、頭から鼻にかけては黒色です。
元々は日本に属していない種で、中国南東部や台湾が原産です。日本に生息するようになったのは、千葉県勝浦市にあった観光施設で飼育されていた個体が逃げ出したことがきっかけだといわれています。眼の下に臭腺があり、それがつぶった目のようにみえるため、四目鹿（ヨツメジカ）とも呼ばれています。
シカの仲間は群れることが多いですが、キョンは基本的に単独で行動します。非常に繁殖力が高く、メスは生後半年で妊娠、生後1年で出産が可能になります。繁殖期は特にありませんが、4～6月頃がピークといわれています。
キョンの鳴き声
キョンの特徴はずばり「声」と「生態」です。多くの住民がその鳴き声に頭を抱えています。
「まるでおじさんが叫ぶような野太い声」
「とても気持ちが悪い」
「夜も鳴くのでうるさくて眠れない」といったコメントが寄せられています。
可愛らしい見た目とは裏腹に、『ギャー！』という叫び声のような大きな音をだします。夜に活動することが多いため、鳴き声もほとんど夜に聞こえてくるんです。こんな鳴き声が夜中に聞こえてくると、ちょっと怖いですよね。犯人がこんなにかわいらしいシカだとは思えないでしょう。
もし森で迷子になって、こんな声が聞こえてきたら、バケモノの声だと思っちゃうかもしれません（笑）。小さいのに大声なんですから、驚きますよね！
キョンの鳴き声の意味
キョンの鳴き声には2つの意味があります。
1つ目は「警戒」です。キョンは危険を感じるとその不気味な声を発して威嚇するのです。
2つ目は「命乞い」です。キョンは捕獲された際、仲間に助けを求めるために鳴きます。
実はキョンは天敵となる肉食動物から身を守るために、大きな声を出して警戒しているんです。
肉食動物は絶滅危惧種に指定されており、人間による乱獲で数を減らしてしまっているため、キョンの増加が問題となっています。
野生動物の生態系には繊細なバランスがあり、肉食動物と草食動物、どちらも減ってしまうと生態系が乱れてしまうことがあります。
人間のせいで生態系が狂ってしまうなんて、ちょっと悲しいですよね。 キョンの鳴き声は特徴的で怖いですが、その意味を知ると少しは理解できるかもしれません。
ただし、キョンの増加によって被害が広がっている現状を考えると、農作物を守るためにはさまざまな対策が必要です。
キョンによる被害
その可愛らしい見た目に反して、実は人々にとって厄介な存在です。
キョンは、庭の植木や芝生、花壇の花への食害が報告されています。さらに、その鳴き声による騒音やフンなど、暮らしに直接的な被害をもたらしています。
住宅地を中心に被害が確認されており、特定外来生物のため、その生態がまだ把握されていないことから、対策が追いつかない状況となっています。
キョンの鳴き声が原因で、多くの住民が被害を受けています。騒音による睡眠不足やストレス、庭の植物を食べられることによる被害など、生活環境への影響は深刻です
農作物への被害
農作物にとってもキョンは大きな脅威です。特に農家の方々にとっては、収穫が台無しになるほどの被害が報告されています。キョンは草食動物であり、農作物を好んで食べるため、栽培中の作物に深刻なダメージを与えることがあります。 また、キョンは野生動物の中でも繁殖の速度が非常に速いため、その数が増え続けると、農作物への被害も拡大していくことが予想されます。人間の毛皮目的の乱獲によってキョンの天敵である肉食動物の数が減ってしまったことが要因となり、キョンの増加が引き起こされています
キョンの増加による問題
キョンの数は年々増加しており、特に千葉県や東京都の一部地域では、被害を受けた市町村数も増加しています。キョンの推定生息数も増え続けてます。
このような増加傾向は、生態系にも大きな影響を与えています。キョンの数が増えることによって、野生動物の生息数のバランスが崩れ、生態系が狂ってしまう可能性もあります。草食動物と肉食動物、どちらも減ることで生態系が正常に機能しなくなっていきます。
人間の活動が原因で生態系が乱れると、私たち人間も直接的・間接的に被害を受けることになります。キョンによる被害は社会全体の問題であり、その解決には私たちの積極的な関与が不可欠です。
これからもキョンから農作物を守るために、正確な情報を得ながら効果的な対策を講じましょう。私たちの行動が、より良い共存のための一歩となることを願っています。
※キョンの駆除方法や共存方法については、後続の項目で詳しくご紹介します。
キョン対策
キョンは、その特徴的すぎる鳴き声と生態が問題視されていますが、そんなキョンに対する対策方法を考えてみましょう。キョンの駆除方法や共存方法についてお伝えします。
キョンの駆除方法
キョンの増加を食い止めるためには、まずはキョンの駆除が必要不可欠です。ただし、キョンは警戒心が強く、人間に捕まることを避けるために慎重に行動します。
そのため、キョンを捕獲するためには注意が必要です。 一般的なキョンの駆除方法としては、麻酔銃を使用して捕獲する方法があります。
麻酔銃を使ってキョンに麻酔をかけ、眠った状態で捕獲することができます。ただし、麻酔銃の使用には免許が必要なため、専門の機関や専門の人に依頼する必要があります。
また、キョンの餌を使って捕獲する方法もあります。キョンは農作物を食べるため、その農作物を使って罠を仕掛け、キョンを捕まえることができます。ただし、確実にキョンを捕まえるためには、経験と技術が必要です。
キョンとの共存方法
キョンを駆除するだけでなく、キョンとの共存方法も考える必要があります。キョンは自然環境で生きてきた動物ですので、完全に排除することは困難です。
まずは、キョンから農作物を守るために対策をする必要があります。農地には柵を設置することで、キョンの侵入を防ぐことができます。
また、キョンが餌とする農作物の種類や栽培方法を見直し、キョンの食害を最小限に抑えることも大切です。
一方で、キョンが生息する自然環境を守ることも重要です。キョンは天敵に指定されている肉食動物から逃げるために、縄張りを主張するために鳴き声をあげます。
そのため、キョンが生息できる環境を守ることで、生態系のバランスを保つことができます。 これらさまざまな対策を講じることで、キョンから農作物を守ることができます。
キョンの対策については、まだまだ研究が必要ですが、少しずつでも解決策を見つけていかないとです。 キョン対策は簡単な問題ではありません。しかし、キョンの増加に歯止めをかけるためには、我々の知識と努力が必要です。
キョンの駆除や共存方法を工夫し、キョンから農作物を守っていきましょう。
まとめ
キョンは思わぬ外見とは裏腹に、その鳴き声や繁殖の速さによって多くの被害を引き起こしています。そのため、キョン防除のための計画が策定され、捕獲や対策が行われています。
しかし、キョンの駆除にはまだまだ努力が必要であり、共存方法の開発も求められています。
キョンから農作物を守るため、私たちも対策を講じていく必要があります。
